THE SECRET OF THE SHAOLIN POLES
方世玉大破梅花樁 - 第二頁

兄弟弟子の死を知らされた世玉は同時に、自分のニセモノが暴れ回っていると知る。 処刑され首を切られた2人の亡骸も持ち去ったと言う。
世玉は早速、彼が入って行ったという遊郭に出向いてニセ世玉を追い詰めた。

「2人の死体はどこだ?!」

そこへ、一人の侍に連れられ、現れた遊女..... その怯えた瞳に、世玉は目を留めた。

「俺の女に色目を使うんじゃないぜ」

それは、世玉がかつて成敗した悪党、雷老虎の弟、雷彪が、仇討ちの為に見付けた日本人、大宰龍之介。
中国の武術も20年以上、学んだと言う龍之介は5千万両の賞金を要求していたが、マー提督は2千万両に下げさせろと命令した。
「従わなければ、そいつも殺せ!」

世玉に捕まり、本名を語ったニセ世玉、彼も姓は同じ方、名はティン。 ヒーローの真似事がしたかったのだという彼に案内されて或る民家に入ると、探していた2人の亡骸が立派な棺に納められていた。

マーに殺された2人が崖から落とされるのを見ていた住民達が、役人がいなくなるのを待って運んで来たというのだ。
全てこのニセ世玉の為に.....
プロの葬儀屋である彼らの手によって、2人の首は綺麗に縫い合わせられていた。
「2人の為に危険を冒してくれてありがとう。皆さんの勇気に心から感謝します」
一同の前にひざまづく世玉.....

「あんたはわしらの為に、いつも命を張ってくれる。礼を言うのはこちらの方じゃ」

「ティン、君のお陰だ、ありがとう」
「勝手に名前を語ったのに、許してくれるのか?」
「それは、認めてくれているからだろう」
悪気の無かった自分を許し、喜んで友達になろうと言ってくれた世玉に、どこまでもついて行くと誓うティン。

その時、2人の子供を連れて立ち去る老人がいた。
ヒーロー世玉にベタボレの子供達..... 「大きくなったら方世玉みたいになるよ!」

「ああ、マイじぃさんかい、近くで漁をしているよ でも素性はよく判らない..... 時々、茶を呑みに来るけど、滅多に口を開かないからな」
「拳法の使い手だったという噂だ。 片足が不自由なのは、そのせいらしい」

何だか気になる世玉であった。
その頃、提督府では.....
「あんたがくれた前金の1千万両で俺はこの女を半分買った。 方世玉の死体と引き換えに残金1千万両を頂けば、全部俺のものだ」
「馬鹿め、さらって来ればタダだぞ、 ところで龍之介よ、仲間を紹介しよう、ティン!」

そこへ現れたのは何と、つい今しがた世玉と友になった筈のティンであった。

「ははは、あんたに習って、俺も残金は払わずに女を貰う事にした!」
龍之介は、マーの手下が日本から呼び寄せた刺客であった。
一体彼はどんな手を使って、世玉を陥れようというのか、
中国拳法にも通じているという彼が選んだ「梅花樁」での決闘とは.....?!

そして杭の立ち並ぶここは、提督府公認試合の会場.....

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