IRON FIST
鉄拳 - 第二頁

コバンザメを見付けた隊長は、一味が黒風村に向かっている事を聞き出した。 そこで、一儲けしようと企んでいるらしい。

隊長の拷問から解放されてうきうき間男中のコバンザメの前に、今度は必殺仕事人の様な音楽と共に丁一郎が現れた。
「さっきもヒラメの居所を訊かれたばかりだ」
「何だと、俺の前に誰が訊いた?!」

騙し討ちで襲い掛かるも、隊長に踏まれたのと同じ右足を踏まれて声を上げるコバンザメ。 シラを切りまくるコバンザメを隊長よりもヒドくシバき、同じく一味の行き先を聞き出し、笑顔で爽やかに去る一郎ちゃんであった。

さて、黒風村の入口にさしかかった隊長の耳に変な音楽が聞こえたかと思うと、えくぼのキュートな青年が立ちはだかった。

「若いの、道を開けてくれないか」
「道は3つある。今来た道。行き止まり。そして、ここから先は3つ目の道。俺の億万長者への道だ。アンタはその道の障害物」
無視して通ろうとする隊長を軽~い気持ちで追い返そうとする一郎であったが、本気になりかけた隊長を見て、協力し合おうと持ちかけた。

「散々、悪事を働いたシュウは、金銀財宝を隠し持っている筈だ。奴を捕まえてそれをぶん取る!」
「俺が欲しいのは奴の命だけだ、財宝など要らん!」
「仇討ちだろ。なら、お宝は俺に、奴はアンタに」
「お宝など持っていなかったら?」
「奴の首が1万両だ!」
…とノリノリの一郎ちゃん。 2人はウェイターに村の事を訪ね、変わった事があったら教えて欲しいと金を渡す。

隊長は、村一番の富豪、高家に警戒を促しに行くが、長らく泥棒も出ないこの村で平和ボケ気味の富豪。
「奴らは普通の賊じゃない、凶悪犯なんですよ!」
しかし、用心棒が大勢いると、笑って隊長を追い返した。

一方、葬式中の家具屋が怪しいと睨んだ一郎ちゃん、家具を買いに来た新来者のフリをして偵察に行く。 姪を名乗る若い女は、家には自分1人しかいないと言い、葬式中だから商売はしないと一郎を追い返す。 ますますアヤシイ…

見慣れない客がいると知らせに来たウェイター。 2人の内、片方は家を襲った時にいたウマヅラだ。 一郎ちゃんにイジメられた後、ウマヅラは隊長に殺されるが、残る1人は一郎ちゃんが逃がす。
「大きな魚を釣るには雑魚は逃がさなきゃ。アンタが追って来てる事を知らせるのさ」
一郎ちゃんが彼らをイジメたのには理由があった。 反撃して来るかどうか、試していたのだ。 隊長が現れる迄は大人しくしていた彼ら、何か企みがあるに違いない。
「居場所もじきに判るさ」

隠れ家に戻った雑魚を怒鳴り付けるシュウ。
「仲間が死ぬ位は何でも無いが、ここが知れてみろ、ぶっ殺すぞ!」
昼間、訪ねて来た若造も怪しかったと言うおりん。 どうやら、逃がしてくれたのはその若造らしい。 隊長とグルかも知れない。

一味は間違いなく、この村にいると確信した隊長と一郎の元に、ウェイターが飛び込んで来た。 一郎が、逃がした雑魚の跡を付けさせていたのだ。 高家の近くで消えたと聞き、邸内に潜んでいるのではと、再び高家を訪れる隊長だが、主人は信用の出来る人間ばかりであり、訓練を積んでいると相手にしない。 そこへ又、ウェイターが知らせを持って来た。 凶悪犯ヒラメを名乗り、暴れている男がいると言うのだ。 隊長が駆け付けると、それはコバンザメだった。
「ヒラメはどこにいる!」

コバンザメが慌てて家に帰ると、一郎ちゃんが待っていた。
「何故、ヒラメのフリをした?」
儲け話があれば仲間に入れてくれるという約束なのに、居所すら教えて貰えず、ヒラメの名を語っておびき出そうとしていたらしい。
「俺も一儲けしたいんだよね。シュウには1万両の賞金が懸かってる」
ヒラメを見付ければシュウも見付かる。
「そしたら、賞金は山分けだ」
ヒラメの居所に心当たりのある一郎ちゃん。

隠れ家にやって来たコバンザメ。 一郎に言われてシュウを呼び出しに来たのだ。
「あの男よ」
賞金目当てに自分の首を狙っているとは、大笑いだ… だが、隊長の方は刀が握れないと言えどもまだ闘える。 少々面倒だ。
「刀を握れない隊長なんて恐れるに足らん、始末しちまおうぜ」
いきまくヒラメを、2人の手下と共に隊長の元に向かわせたシュウ。
「若造はおりん、お前に任せる」

<前頁 * 第2頁 * 次頁>

第1頁 扇の間