IRON FIST
鉄拳 - 第三頁

隊長に見付かり、ヒラメの名を語った訳を訊かれるコバンザメ。
シュウも一緒だと教えるが、それは一味の罠だった。 そして一郎には
「シュウを見付けたけど、逆に殺されるよ」

嫌がるコバンザメを無理やり同行させ、隠れ家に乗り込んだ一郎。 それはおりんが用意した罠なのだが、コバンザメは巻き添えで殺されてしまう。 おりんは一郎を始末出来ずに逃げ出す。 言葉のアヤとは言え、一度は相棒と呼んだコバンザメの死にしばし心を痛める人でなし一郎ちゃんであった。

その頃、おてんと様の下では.....
隊長の失った指の代わりに付けられた義手の鉄パンチが、待ち伏せたヒラメと手下達を成敗していた。 たとえ武器を持たなくても、隊長が簡単にやられる筈などない事は計算の上であった。

「ヒラメなどに奴は倒せん。ヒゲヅラ、おりん、分け前が増えたぞ」
どん引きのヒゲヅラとシュウが隠れ家に戻ると、一郎が待ち受けていた。 シュウは一郎を制し、取引を持ち掛ける。

「俺の首に懸かっている賞金の倍で隊長を殺してくれ」
必ず明日、ある飯屋で。 高家襲撃から目をそらせる為だ。

隊長と一郎を消す為に無敵の「吹風刀法」の2人を雇ったシュウ。 5千万両では足りないと言い、隊長は1万、一郎は値引きで半額、計1万5千万両を前金で貰った2人。
高家では…
「父さん、うちを襲うなんてあり得ないですよ」
金庫の鍵だって1つしか無いし、作った老人だって死んだんだから…
「だが、理由も無く忠告には来ないだろう、判らんぞ」
うちに入ろうなんて、まともな人間は考えませんよ、ハハハ!

翌日…
着々と進む一味の計画。 高家の附近では、見慣れない人夫や物乞い達が行き交い、不気味な時間が流れていた。 殺し屋と共に出掛けるおりん。
一郎ちゃんは言われた通りに隊長を呼び出した。
「デカイ魚が釣れたよ、アンタを今日、ここで殺せって… でもこんなもん破いちゃう、ビーリビリっと。 俺は信用第一だから、裏切りはしない」
調子のいい彼を隊長は疑いのマナコで観察した。 そもそも、強盗して奪った小切手など換金出来ない。

程無く、現れたおりんに匂いで気付いた一郎。 おりんは殺し屋の2人を制し、まずは一郎の出方を見る事にする。
「奴らは、騒ぎに乗じて高家を襲うつもりじゃないのか?」
そんな筈は無いと言う一郎。 勿論、そんな筈はあると思いながら…

「絶対そうだ!奴らは高家に押し入るつもりだ!」
「俺も判ったぜ、アンタはやっぱり俺の障害物だ!」
「一郎、お前、一体何を企んでる?」
「俺には俺のもうけ方があるって事!」 

殺し屋も入り乱れ、飯屋は大騒ぎに…!
ドンガラガッシャーン
トレードマークの名前入り白扇子で舞うおちゃめな一郎ちゃん、隙を見て
「隊長、この2人は任せたぜ!」
高家へ向かう一郎。

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