いびられ上手
お話
麺屋を営む叔父の當二に育てられている孤児、荘風(孟飛)は、或る日、店に現れた飲んだくれの老人、呉行に連れ去られた。
訳も判らず1ヶ月以上も厳しい拳法の修行をさせられ、叔父の元に逃げ戻った荘風は、店の用事で買い物に出た帰り、武術イベントを見物する。
モンゴル出身の強者を負かした者に賞金十両を与える、というものだ。
そこへ現れた風来坊のモンキー(午馬)は、見物人に紛れて荘風の卵を盗む。
気付いた荘風は、追いかけている内に舞台に上がってしまい、勢いでモンゴル人と仲間を倒す。
そこへ、縄張りの主である象拳の使い手、高(馬場)が現れ、荘風は老人に習った構えを見せる。
「酔八仙拳か… 呉行とどういう関係だ?」
「赤の他人っ!」
「ならば誰に習った?」
「八仙にっ!」
自信たっぷりにボケてみたものの、全く勝ち目が無く、モンキーの助けを借りてその場から逃げた。
粉
ま
み
れ
♥
象拳の高は、賭博場の2階へと急ぐ。
醉八仙拳を見たと報告を受けて驚いたのは、兄貴分、豹拳の段渾(陸一龍)。
7年前、虎・豹・獅子・象(エライ順)の4人組は、呉行を殺して醉八仙拳を絶やしたつもりだったのだ。
呉行が生きているとなればやっかいだと、弟子と思しき荘風を見つけ出す様、象拳の高に命令する。
賭博場に顔を隠して出入りしているのは、獅子拳の雷四方(龍飛)。
何も知らずに麺の出前をする荘風、その身軽さはスパルタンX~って、こっちの方が先やん!
こ~んな店があったら、毎日10回位、頼んで破産しちゃうね…
キュートな笑顔を振りまいたりしている内に店が襲われ、従妹の冬冬に象拳の高の仕業と聞いた荘風は、試合場へ戻って仕返しをする。
この事はすぐ、虎拳の白天彪(陳星)の耳に入った。
仇を討って帰ったに関わらず叔父に罵られる荘風を見たモンキーは、賭博で一稼ぎし荘風に渡す。
またまた或る日、食い逃げしようとしたならず者達を、叔父に止められ手が出せない荘風に代わり、蛇拳の使い手、白玉(司馬玉嬌)が懲らしめた。
白玉は天真な荘風にズッキンの様子…
名も告げずに立ち去る彼女であったが、荘風がイカサマ賭博師達からモンキーを助けた折に再会する。
目の前を通り過ぎた獅子拳の雷四方の正体を尋ねるモンキーに、関わるなとばかりの荘風。
イカサマで勝たせて貰えるとの計算からであろうか、その雷四方に化けて賭博場に現れたモンキーであったが、すぐに変装がバレて追い出されてしまった。

豹拳の段渾は、家主に命令し、叔父を立ち退かせようとする。
家賃代わりに商売道具を置いて行けと言われ、従妹は
「お金があれば自分の店が持てて、こんな扱い受けずに済むのに」
その言葉を聞いたモンキーと荘風は、金持ちに化けて賭博場に乗り込む。
数回勝てば店が持てるぞと言いつつ、負けまくってズボンまで持って行かれた挙げ句、イカサマだと騒ぎ出したモンキー。
乱闘で大はしゃぎ、お茶目な孟飛ちゃんにお下劣ギャグ炸裂の午馬と、私に言わせりゃこの映画のクライマックスはここである。
豹拳の段渾が手下を差し向けるが、白玉も加わって脱出成功!
その様子を黙って見ていたのは、獅子拳の雷四方だ。
結局、金は手に入らず、賭博場に行ったのかと叔父に叱られる。
そこへ家主達がやって来て、店を潰し始めた。
堪え切れず反撃した荘風に、家主は豹拳の段渾の指図だと洩らし、出て行かないと言い張っていた叔父は、その名を聞いて諦める決心をする。
引っ越したものの、叔父は病気だし、従妹はまだ幼い。
1人で仕事を探す荘風にバッタリ出会った白玉は金を渡そうとするが、荘風は受け取らず、住処も告げずに去る。
その様子を影で見ている段渾と雷四方…
荘風を雇わないよう、行き先々に根回しをしているのだ。
病状がどんどん悪化する叔父に罵られ、荘風は、全ては豹拳の段渾の仕業だと賭博場に殴り込みに行くが、歯が立たない。
駆け付けたモンキーと共に逃げる荘風、それを追おうとする段渾を止めたのは、獅子拳の雷四方だった。

師匠、呉行の住処へやって来た荘風とモンキー。
「誰が師匠じゃ!段渾にやられたんじゃろうが」
「あの4人を御存知なんですか?」
どんな因縁があるのかと尋ねたところへ、後を付けて来た獅子拳の雷四方が姿を現す。
師匠の指示通りにワザを繰り出す荘風だが、これが又、酔った師匠が途中で寝てしまったりするのだも~~~午馬監督ったら遊び過ぎ♪
荘風が何とか雷四方を退治すると、師匠の呉行はゆっくりと語り始めた。
7年前、悪名高き4人が事件を起こそうとしたところに出くわし、阻止したのだが、その際に負った「内傷」が原因で拳法が使えなくなり、以来、酒に頼って生きているのだ。
4人にも死んだと思われている…
そんな或る日、荘風に出逢い、己の全てを授けようとしたのだった。
事情を話さなかったのは、個人的な問題を押し付けたくなかったからだと言う。
それを聞いた荘風は、従妹と叔父をモンキーに託し、修行に励む決意をするのであった。
モンキーは豹拳の段渾に捕まり、巻いて逃げるが、その間に従妹がさらわれてしまった。
白玉は残された叔父を自宅に連れ帰る。
モンキーから2人が消えたと聞かされた荘風は、賭博場に行き、豹拳の段渾の居場所を力ずくで聞き出す。
九重の滝で待ち受けた段渾を片付けた荘風の元に、モンキーがやって来る。
あんなに冷たい叔父なんか放っておけばいいと言うモンキーに、身内に酷い事を言うなと怒る荘風。
悪かったと泣きじゃくるモンキーに、困った荘風、笑顔で仲直りなのであった。
このスマイルって「地」だよね… ハハハ♪

叔父に話を聞いた白玉は、従妹を連れ去った2人、金銀双虎の元へ行き、理由を問い詰める。
「お嬢様、これは父上の命令です」
白玉は親玉、虎拳の白天彪の娘だったのだ!
娘が荘風に好意があると知った白天彪は、誤解だから家に呼びなさいと言う。
白玉は疑わず、2人に叔父と従妹の居場所を知らせに行く。
父親を呼んで来るからと白玉が消えた直後、現れた金銀双虎。
彼らを倒した荘風の前に、最後の敵、白天彪が現れた。
「お前が呉行の弟子か」
「そうだ!」
同じ姓の白玉が白天彪の娘と気付き、騙されたと思い込んだモンキー。
初めて身内の悪事を知らされた白玉は、モンキーに連れられ父親の元に駆け付ける。
苦戦する荘風を攻撃し続ける父親の前に飛び出し… 何故と問い続けながら息絶える白玉。
愛する娘を殺してしまった白天彪は、反省するどころか逆ギレし、尚も荘風と闘い続ける。
…そして悪は滅び、明るく劇終~~~
見所
監督、午馬自らも出演し、何故か藤岡弘に見える不思議なヅラの孟飛ちゃんと2人して、妬けるほど楽しそうに遊んでいる。
酔拳がらみという事で、いつもの美しい脚の形は拝めないが、時に無邪気に、時に凛々しく、いつもに増してクルクル変わる表情、口がよく動く泣きそーアクションもたっぷり、何よりも天然孟飛ちゃんの小動物的な愛らしさを堪能出来る。
体操吹替も速回しも、あるにゃあるが、特に気になる程ではない。
多分に幼いので、十代という設定なんだろうけど、こ~んな色っぽい十代がいたら即、補導ですよ補導♪
(…と書いたが、年齢設定に関しては続報をご覧頂きたい。)
補
導
確
実
?
午馬演じるところの、「祖宗」という名の猿を連れている賴皮猴は「フーテンのガリガリモンキー」とでも訳そうか、英語版では Monkey と呼ばれている。
コミック仕立てでヒットした「酔拳」からの発想であるとは推察されるが、それを目指したとの先入観で見てしまっては、この映画の面白さは味わえない。
これは美形とアクションを多用したおフザケ映画なのだ。
中国語版はその意図がストレートに伝わって来る。
全くもってやりたい放題、フケツ・お下劣は午馬の担当であるが、孟飛ちゃんがあの顔でお遊びに加わるのもイイ。
師匠の言葉も訛っている上に酷く不明瞭で、あんまり真面目に喋っている様に聞こえない。
DVDは英語版しか存在を確認できていないが、うっすらと原語の音声がかぶっている…
そんなことする位なら、まんま入れとけよまんま~!
御本人情報
住職が孟飛城主から直接、頂いた最初の情報である。
機会がいきなり訪れ、質問を用意していなかったもので、その時、見ていたこの作品の役の年齢設定をお尋ねしたのである。
お答えは…
「二十歳過ぎぐらいじゃな~い?」
はっきりとした設定は無かったという事であろう~~~とにかく孟飛さま御自身は、その位の年齢の芝居をしていらっしゃるという事である… 何とか補導を免れてめでたし♪
嬉し恥ずかし第1回インタビュ~(?)は
タレコミ寺内記事をどうぞ。
出品/金之塔影業有限公司 公開 1980年