
仕様
この家の主人、太平王の息子は、ガードマン達に「犯人を連れて帰らねば死刑」と言い渡す。 ガードマン達は何故か忍者を使って義賊、陸小鳳(孟飛)を捕えようとするが、真犯人は別にいると察していた。 15日以内に財宝を取り戻すとの陸小鳳の言葉を信じ、彼らは引き上げる。
事件の朝、唯一、現場へ行った葛通という男がおり、その日の夜に屋敷を去ったと言う。 訪れた陸小鳳に真犯人を教えようとした葛通は空手遣いの赤忍者に殺され、追い掛けた陸小鳳はブサイk… いや、無表j… いや、ド素t… いや、何ちゅうか女(いつもながら楊鈞鈞)に出逢う。 彼女が示唆した「胡蝶谷」へ行って調査をするが、天下に2つと無い名刀「夜壺刀」を拾っただけで、手掛かりは見付からない。
その内、変な男が現れて(変としか言いようが無い)、帰らないと後悔するぞと脅す。
「俺は生まれてこの方、一度も後悔した事が無い」
闘っていると変な男のボス、吳明という老人(石峰)が現れ、陸小鳳を屋敷に連れて行く。 老人は何故か、彼を陸小鳳と知っている様だ。 屋敷では皆が賭け事に興じており、先程出逢った女が老人に金を借りに来る。
見学したいという陸小鳳に老人は、構わないが、「自分で自分を養う」というここの唯一の規則には従うようにと言う。 そして、負けるのも勝つのも速い「沙曼」に気を付けろ、金ばかりか、お前自身まで持って行かれるぞ… と。 「沙曼」とは、金を借りに来た先程の女だ。
陸小鳳は谷で拾った「夜壺刀」を賭けようとするが、誰にも価値が判らない。 隣にいた沙曼が陸小鳳のツキに賭け、刀をカタに金を貸してくれるが、沙曼は大勝ちするものの小鳳は負けてしまう。 老人の元に戻り、負けたら体で返すからと1万両借りて沙曼から「夜壺刀」を買い戻すが、賭けには又もや負け、老人に
「金はお前のものだが、お前はワシのものだ」
などと言われてしまう… 要注意人物アンタやん。
ちなみに、ここでのやり取りはこの先の出来事とは何の関係も無ければ、「夜壺刀」も二度と出て来ない。
そこへ、老人の娘(方芳)が現れる。 宮九という謎の男の妹でもある。
「お兄様から何か?」
「お前に土産が届いているぞ」
箱の中身は、かつて妹を怒らせた嘘嫌いの老實和尚(丁國勝)。 陸小鳳とは友達だ。
「チャンスをあげるわ。ここにいる人間の中から好きなのと闘って、負かす事が出来たら、その者を代わりに殺しましょう」
陸小鳳を選ぶ和尚。 友達を売るのかと罵られる和尚だが、陸小鳳は娘の花婿候補だから殺されはしない、と睨んでの事だった。
夜中に脱出を試みるが、庭を堂々巡りし、出られない陸小鳳。 同じく出られない和尚に出くわし、宮九とはどんな奴かと尋ねると、知っているが言えないと言う。 すると、闇からおかめ軍団が出現する。 倒しても倒しても復活する。 どうやら「木人陣」に迷い込んでしまったらしい。 8体の動きが、離れた所にいる1体の頭で制御されていることに気付き、木人陣を突破した陸小鳳。
「次も同じ事があったら、こうすればいいんだな… よし!」
2度と出て来ないんだなコレが。

「そうか、読めたぞ。俺が仲間になったら事件は俺の手で解決した事になり、拒否したら永遠に犯人扱い、という訳か」
う~ん、よう判らんが、まぁ、どうでもいい、どうせその場限りの台詞だ。 よーく考えなさい、宮九に気を付けなさい、と言う老人。 だ~から気を付けなあかんのはアンタやろって。
そして、いきなり沙曼とのロマンス、物語の最難所である。 2人の口はずっと動いていて喋っているのに、台詞を消してまで流す歌はジャイアン楊鈞鈞、歌詞が
「愛の為なら天高く、9万里だって飛んで行くわぁああぁああ~~~ホゲェエエエ♪」
つまりタイトルの「一鳳東飛九萬里」という訳である… 「拷問」の他に言葉が見付からない。
不自然なまでにいちゃついていると、宮九(石峰)が氷の花を届けに来る。 これが又、何の意味があるのか判らないまんま、これっきり出て来ない。 ほどなく、侍女の小玉が、宮九が呼んでいると伝えに来る。 酒を飲んで待っていて欲しいと言って出掛けた沙曼は、やきもきしている陸小鳳の元へあっさり帰って来る。 何か知らんが、宮九は沙曼を嫁にしたいが、フられているようだ。 そこへ宮九の妹がやって来て、兄からは逃げられないと言う。 ブサイk… いや兄を虜にする沙曼が大嫌いなのだ。 侍女の小玉と和尚が現れ、妹を人質に逃げようと提案する。
幾つものミラーボールが吊り下がった宮九の部屋を訪れた陸小鳳は、2時間後に妹を帰すから、我々4人を追うなと取引し、無事に逃げる。 小鳳は助太刀をして貰う為、数少ない友である盲目の剣士、花滿樓を探す。
老人達は、どうやら大きな陰謀の為に陸小鳳が必要らしい。 宮九は小鳳1人では歯が立たない程に強いと聞き、ヒゲを剃って来れば何でも手伝ってくれる友人、西門吹雪にも助っ人を頼む事にする。 小鳳の友達はこの2人しかいないようだ。 1980年の「劍氣滿天花滿樓」に続き、2度目にヒゲを剃って現れた小鳳を見て、西門吹雪がやれやれと腰を上げたところ、鷹眼老七が西門吹雪を殺しに現れる。 …ちゅうことで、この場面のみ、貴重な「ヒゲ無し」孟飛さまである。
2人を襲った鷹眼老七は、死ぬ間際に「許してくれ…」
ちょっと待って、誰やねん? アンタ初めて出て来たやん、知らん客は置き去りかいっ!
「宮九が我々全員を裏切った、沙曼は長安へ行った」
まぁ、取り敢えずそういう事らしいので、長安へ向かいましょう…

道中、出くわした花滿樓に何故か攻撃される陸小鳳。 花滿樓は毎晩のように何者かに襲われているらしく、盲目の彼は人の気配に咄嗟に反応してしまったのだ。 それは宮九の策略であったが、花滿樓が途中で陸小鳳と気付いたのだ。
「ハッハッハ、全武術界を揺るがすこの大事件に絡まないとは、おせっかい陸小鳳の名が泣くぞ」
宮九は、陸小鳳に現皇帝を暗殺させようとしていたのだ。 何故なら宮九こそ次期皇帝で、あの窃盗被害に遭った太平王の息子だったのだ! (※ここで「え~~~っ?!」と驚かない事には、もう驚くとこナイよ…) 沙曼と2人で楽しく暮らしたくないのかと問われ、己の望みの為に悪事を働きはしない、少なくとも自分と2人の友だけは、と返す小鳳に、感動しなくちゃいけないみたいだ。
そこへ現れた西門吹雪。 続いて、宮九の妹を捕らえて来た和尚が、人質を交換して公平な決闘をと言う。 宮九に謀叛かと問われ、悟っただけだと答える和尚… 狙ったトコやと思うからいちおー書いとく。 (こういう「粋」を狙った所がいちいちクサイのよな…)
一度は命令に従い下がった手下達だが、又、出て来て西門吹雪と花滿樓に片付けられ、陸小鳳に襲い掛かった妹も返り討ちに遭って死ぬ。 そして陸小鳳と一騎打ちの真っ最中の宮九に、沙曼が大声で呼び掛ける。 ピンチだから呼んだのか、その逆か、よー判らんのだが… とにかく、惚れた女の声に振り向き、その隙を突かれた宮九は陸小鳳に殺される。 シャアシャアと… いや、延々と悲しむ沙曼。
「俺はお前の腕の中で死ぬが、陸小鳳が死ぬときは… 死ぬときはぁあああ~~~ ガクッ」
見所 原作はどうか知らんが、映像は毎回ながらキツイものがある。 楊鈞鈞さんは女優じゃなくて、ただの夢多き金持ちだもの。 世の中、ゼニがあれば何でも叶うのよ♪
この時期は売れっ子の古龍作品の映画化が流行っていて、多分、みんなシリーズの登場人物やら設定やらを知っていたのだろう。 いきなり映画で見るとワケ判らんけどなっ。
石峰は宮九とその父親を演じているが、宮九が父親のフリをしていたのか、ただの2役なのかは判らない。 古龍ファンは知っていると思う。 住職は悟っているので、別にどっちでもいいと思う~ポクポクポクポク…
西門吹雪に会いに行くシーンを除いてはヒゲ仕様である。 んでビュンビュン飛んで、体操吹き替えて、折角の美しい扇子遣いも衣装裁きもも~どこへやら… 例によって速回しでパラパラ漫画状態なのが、動画だから更に酷い。 住職は速回しと宙吊りが子供の頃から大嫌いなのだ。 昨今の劇画タッチ誤魔化しアクションはもっと嫌いじゃがな。 まーハリウッドだったらそれでも通用するのだが。
動画以上のものを入手する気にもならない住職なのだが… まぁ、ビデオから取り込まれたと思しき海賊DVDは存在するので、忍耐… じゃなくて興味のある方は探してたもれ。
ストーリーは陸小鳳シリーズの最終章「鳳舞九天」、同じく孟飛主演で「陸小鳳傳奇之鳳舞九天(Clan of Amazons)」という別作品も存在する。
酒浸りで、金の為に書いていると公言していた故古龍さんは、孟飛さまと仲が良かったみたいだ。
住職は一連の作品には「ゼニの力」しか感じない。 この辺りは城主にとって黒歴史なのかと思っていたら、意外にも結構、良い思い出らしい。
大五影業公司, 香港長江影業 台湾公開 1981年7月31日 (96分5秒)